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東北タツミ現場発AIプロジェクト vol.23:AI担当者に必要なのは、AIの知識より「困りごとを聞き出す力」かもしれない。

こんにちは。広報兼、業務改善担当の酒井です。

前回は、新しいAIを追いかけるよりも、まずは自分たちの業務にある「面倒な作業」を洗い出した方がいい、という話を書きました。

今回は、その続きのような話です。

現在、弊社では、日本と中国の工場をつないだオンライン会議で使う、リアルタイム翻訳アプリを作っています。

日本語で話した内容を中国語の字幕にする。
中国語で話した内容を日本語の字幕にする。

それを会議中に、ほぼリアルタイムでブラウザ上に表示する仕組みです。

中国人スタッフにも実際に使ってもらいながら、

「この表示でわかりやすいか」
「翻訳が遅いと感じないか」
「専門用語や製品名を正しく拾えるか」
「会議中にどんな画面だったら使いやすいか」

といったことを、一緒に考えているところです。

今回は、このアプリの機能そのものよりも、作っている途中で気づいた「AI担当者に必要な力」について書いてみたいと思います。

目次

会議が終わってからではなく、その場で理解したい

以前、この連載では、中国工場とのオンライン会議を録音して、日本語と中国語の議事録や共有メールを自動で作る仕組みをご紹介しました。

これは今でも便利です。
ただ、議事録で内容がわかるのは、会議が終わったあとなんですよね。
会議中に相手の発言がわからなければ、その場で質問したり、意見を出したりすることが難しい。

通訳できるスタッフが間に入ってくれますが、すべての会話を一言ずつ訳していたら、当然、会議の時間も長くなります。

そこで出てきたのが、

「話した内容が、その場で字幕になったらいいのではないか」

というアイデアでした。

大きなシステムを導入するのではなく、パソコンのブラウザを開けば使えるものにする。

日本側が話せば中国語が表示され、中国側が話せば日本語が表示される。

そんな仕組みがあれば、言葉の違うスタッフ同士でも、もっと直接やり取りができるかもしれない。

そこから今回のアプリづくりが始まりました。

自分ひとりでは作れなかった。でも、AIに相談したら道筋が見えた

僕は、もともと翻訳アプリを開発できるような専門のエンジニアではありません。

音声をどうやって取得するのか。
音声を文字にするには何が必要なのか。
文字を翻訳し、字幕として表示するにはどうすればいいのか。
日本と中国から同じ画面を見るには、どんな仕組みが必要なのか。

以前なら、この時点で「自分には作れない」と諦めていたと思います。

でも今は、わからないことをそのままAIに相談できます。

「日本と中国のオンライン会議で、話した内容をリアルタイムに翻訳して字幕表示したい」

まずは、この困りごとをAIにそのまま伝えました。

するとAIが、必要な機能を分解してくれます。

音声認識が必要。
日本語と中国語の判定が必要。
翻訳処理が必要。
字幕を表示する画面が必要。
複数の人がブラウザから見られる仕組みが必要。

さらに、試作するためのプログラムを書き、エラーが出たら原因を調べ、修正方法まで一緒に考えてくれます。

僕が最初からすべてを理解していたわけではありません。

AIと相談しながら、一個ずつわからないことを解決していった結果、少しずつ動く形になってきた、という方が正確です。

自分ひとりではできなかったことでも、AIの力を借りると、完成までの道筋が見える。

これは、今回あらためて強く感じたことでした。

AI担当者に必要なのは、プログラムを書く力だけではなかった

ただ、作っていくうちに気づいたことがあります。

AIがプログラムを作れるからといって、現場で役に立つアプリが自動的に完成するわけではないんですよね。

たとえば、

「字幕はどこに表示されたら見やすいのか」
「何秒までの遅れなら会話に使えるのか」
「翻訳が間違っていたらどうするのか」
「製品名や型番はどのように登録するのか」
「日本側と中国側で、同じ使い方ができるのか」

こうしたことは、AIだけでは決められません。

実際に会議をしているスタッフに聞かないとわからないからです。

そしてスタッフの側も、最初から「リアルタイム翻訳アプリが欲しい」と言っていたわけではありません。

出発点にあったのは、

「通訳を挟むので会議に時間がかかる」
「発言の細かいニュアンスが伝わりにくい」
「その場で相手の話を理解したい」

という、日々の小さな困りごとでした。

そこを聞き出して、

「だったら、こういう仕組みがあれば解決できるかもしれない」

とAIに相談する。

AI担当者に必要なのは、AIの新機能をたくさん知っていることだけではありません。

現場の人に話を聞いて、本人たちもまだ言葉にできていない困りごとを見つける力。

いわば「インタビューする力」の方が、実は大事なのかもしれません。

「AIに何ができるか」から考えない

AI活用の話になると、つい、

「このAIには何ができますか」
「この機能は仕事に使えますか」

という順番で考えてしまいます。

でも、この順番だと、AIを使うこと自体が目的になりやすいんですよね。

今回も、

「AIを使って翻訳アプリを作ろう」

から始まったわけではありません。

「中国工場との会議で、お互いの話をその場でもっと理解できるようにしたい」

という困りごとが先にありました。

その困りごとをAIに相談したら、

「音声認識と翻訳とブラウザを組み合わせれば、こういう形にできそうです」

という道筋が見えてきた。

AIに何ができるかを先に考えるのではなく、まず現場で何に困っているのかを考える。

そして、自分では解決方法がわからない段階からAIに相談する。

この順番が大事なんだと思います。

まとめ:AI担当者は、現場とAIをつなぐ人

今回のリアルタイム翻訳アプリは、まだ開発途中です。

技術的に動くだけではなく、中国人スタッフと日本人スタッフの両方が、実際の会議で無理なく使えるところまで持っていく必要があります。

使ってもらえば、きっと新しい問題も出てきます。

翻訳の精度、表示の速度、専門用語、操作のわかりやすさ。

そうした問題をスタッフと一緒に確認し、またAIに相談しながら直していく予定です。

今回感じたのは、AI担当者の役割は、AIの使い方を教えることだけではない、ということです。

現場の困りごとを聞く。
まだ形になっていない要望を整理する。
AIに相談しながら、解決できる形に変えていく。

つまり、現場とAIの間をつなぐことです。

「AIで何かやりたい」と考える前に、まずは隣の人に、

「いま、仕事の中で何に困っていますか?」

と聞いてみる。

AI活用は、案外そこから始まるのかもしれません。

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