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ネットワーク効果が技術標準を決める。ライトニングの衰退とUSB-C・液晶テレビの台頭

こんにちは。東北タツミ商品部です。

さてiPhone16も出て、ついに充電ケーブルが、ライトニング端子からUSB-Cに本格的に移行していく流れが見えてきました。日本ではスマートフォンといえばiPhoneというイメージが大きかったので、ライトニングがなくなると聞くと、時代の変遷を感じるのではないでしょうか。

実は、こういった市場のシェアを大きく取るためにはネットワーク効果を使っている場合が多いのですが、まさしくUSB-Cの市場支配はその流れを大きく感じます。

自社の製品は良いモノだという考え方と市場のニーズは必ずしも一致しないものです。その実例を今回は過去の技術と照らし合わせながら書かせてもらおうと思います。

目次

ネットワーク効果とは?

「ネットワーク効果」とは、ある製品やサービスの利用者が増えることで、その価値が高まり、さらに多くの人が利用するようになる現象を指します。

たとえば、スマートフォンやソーシャルメディア、オンラインマーケットプレイスなど、多くのユーザーが集まることで、その価値が高まる例は日常でよく目にします。この効果が働くことで、特定の技術やサービスが急速に広まり、市場を支配することがあります。

今回は、ネットワーク効果が技術標準に与える影響を、ライトニングとUSB-Cの競争、そして液晶テレビとソニーのトリニトロンの市場変化を例に解説します。

ライトニングの衰退とUSB-Cの隆盛:技術標準のシフト

ネットワーク効果が生み出す技術標準

技術の普及と採用にはネットワーク効果が大きな影響を与えます。USB-Cの急速な普及は、ネットワーク効果の影響を顕著に示す例です。USB-Cは、多くのデバイスで採用され、ユーザーに「一つのケーブルでさまざまなデバイスを使える」という利便性をもたらしました。

ライトニングとUSB-Cの競争

Appleの独自規格であるライトニングは、2012年にiPhone 5で導入されましたが、他のスマートフォンメーカーはUSB-Cを採用。

USB-Cはデータ転送速度や電力供給性能が優れており、スマートフォン、タブレット、ラップトップなど多くのデバイスで標準規格となりました。広範なメーカーによる採用によりネットワーク効果が生まれ、USB-Cが主流規格として確立されたのです。

ライトニングの衰退

ライトニングはiPhoneや一部のApple製品に限定されており、USB-Cの広範な普及に対抗できませんでした。

特にEUがUSB-C統一を義務化したことで、Appleもその流れに従わざるを得なくなり、ライトニングの市場は縮小の一途を辿っています。オープンな規格であるUSB-Cは、異なるメーカーの製品間で互換性を持ち、ネットワーク効果を強力に発揮しました。


液晶テレビとソニーのトリニトロン:技術革新と市場シェアの変化

トリニトロンの時代:画質革命をもたらした技術

1968年にソニーが開発したトリニトロンは、色の再現性と明るさで画質革命を引き起こし、長らくブラウン管テレビの頂点に立ちました。この技術は市場で圧倒的なシェアを誇り、消費者にとって「高品質の象徴」として受け入れられました。トリニトロンの採用が広まることで、さらにその価値が高まり、ソニーの市場支配力が強化されました。

液晶テレビの登場とトリニトロンの衰退

2000年代に入り、薄型で軽量な液晶テレビが登場。液晶技術は、製造コストの低さや大型化のしやすさから急速に普及し、ネットワーク効果によって市場での支配的な地位を確立しました。複数のメーカーが液晶テレビ市場に参入し、製品の多様化と価格の低下が進み、トリニトロンを始めとするブラウン管テレビの市場は急速に縮小しました。

ソニーの対応と技術革新の波

ソニーは液晶テレビ市場に遅れを取らないようBRAVIAブランドで再参入しましたが、トリニトロン時代の市場シェアを再現することはできませんでした。技術革新により市場が急激に変化する中、ネットワーク効果が新しい技術の普及を加速させ、旧技術が淘汰されるのは避けられなかったのです。


結論:ネットワーク効果が技術標準を左右する

ライトニングの衰退とUSB-Cの隆盛、そしてトリニトロンの衰退と液晶テレビの台頭はいずれも、ネットワーク効果が技術の普及と市場シェアに大きく影響を与えた事例です。

オープンな規格や広範な採用によってネットワーク効果が働くことで、新技術が市場標準となり、旧技術に依存する企業はその変化に対応しなければ、市場から取り残されるリスクが高まるのです。

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