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ISO内部監査員研修に参加して感じたこと

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―品質管理は「消防士」ではなく「防火壁」だった!―

こんにちは、中国工場の柯(か)と申します。

2ヶ月前、私は購買課の鐘さんと一緒に、4日間にわたるISO三規格(ISO9001、14001、45001)の内部監査員研修に参加しました。

正直、「マニュアルの条文解説が延々と続くんだろうな」と思っていたのですが、その予想は良い意味で大きく裏切られました。


研修は“経営”そのものだった

講師の先生が強調していたのは、「品質管理システムとは、企業経営の“土台の仕組み”そのもの」だということ。つまり、ISOはただのチェックリストや形式的なルールではなく、会社を安定して回していくための根幹だということです。

特に心に刺さったのが、こんな一言。

「品質管理の目的は、経験を“消す”こと。作業の標準化にある。」


経験を“消す”?それってどういうこと?

この「消す」という言葉には、最初びっくりしました。でも、よく考えると納得です。

たとえば、企業がなぜ新人を採用し続けるのかって、不思議じゃないですか?
「即戦力のベテランを雇った方が楽なんじゃないの?」と、働く側からは思ってしまいます。

でも、企業の視点は違います。

ベテランばかりに頼ると、その人だけができる仕事が増えてしまい、会社全体としての仕組み(=標準化)が崩れていくんです。
それを防ぐために、**誰がやっても同じようにできる標準作業手順(SOP)**を作ることが大切になるんですね。


新人採用は、標準化を進める“プレッシャー”

新人を育てるには確かに手間がかかります。
でも、「SOPやマニュアルがしっかりしていれば、新人でも数日で仕事を覚えられる」状態が理想です。

つまり、新人を採用するということ自体が、会社に「標準化を進める圧力」をかけてくれるというわけです。

実際、お客様の中には、「若い社員が多い会社」を選ぶ傾向もあります。
それは、「若い人でもちゃんと仕事が回る=仕組みがしっかりしている会社」だと感じるからなのかもしれません。


「ネジ締め」こそ、学びの原点

私はまだまだ勉強中で、**「あるべき姿(標準)」と「現場の実際のやり方」**のギャップを感じることもしばしばあります。

転職活動でよく聞く「面接ではロケット開発の話、入社したらネジ締めばかり」という話、まさにその通りです。でも今の私は、こう思います。

「ネジ締め」だって、すごく大事。

地道にネジを締める作業を通して、会社の動きや仕事の意味が少しずつ見えてくる。
それが、企業全体の動きを理解する第一歩なのだと。


品質管理とは、「火消し」ではなく「火を起こさせない壁」

品質管理というと、問題が起きてから対処する「消防士」のようなイメージを持たれがちです。
でも、本当に目指すべきは、「火事が起きないように設計された防火壁」であること。

この研修を通して、私は品質管理の本質を理解し、自分の仕事にもより深い意味と責任を感じるようになりました。


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