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「明日から納品できる」—ジョブスを唸らせた職人の嗅覚

こんにちは。東北タツミ商品部です。
春の訪れとともに、新年度がスタートしました。新しい季節は、心を弾ませてくれますね。

さて、私たち製造業にとって、常に大切なのは「お客様のニーズを嗅ぎ取る力」です。
今回は、その嗅覚を研ぎ澄ませ、大きな発注を勝ち取ったある企業のお話をご紹介します。

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カラフルなiMacの衝撃

皆さん、かつてAppleが発売したスケルトンデザインのiMacを覚えていますか?
グレーの無骨なPCとは一線を画し、カラフルで未来的なデザイン。
CMではローリング・ストーンズの「She’s A Rainbow」にのせて、まるでバルーンアートのようにiMacが踊っていました。

しかし、このデザインには大きな壁がありました。

クリアなデザインに必要な「曇りなきステンレス」

iMacの背面は透明。そのため、内部のステンレスケースが少しでも曇っていたらアウトでした。
ジョブスは、完璧な透明感を求め、厳しくチェック。
当初、シンガポールの会社が製造を担当する予定でしたが、その難易度の高さに多くの同業他社が早々に諦めていたそうです。

ジョブスが探し求めた工場

しかし、たった一社だけ、「ジョブスはきっと自分で工場を探しにくる」と見込んだ会社がありました。
ライバル企業の設計をさらに磨き上げ、最高品質のステンレスケースを準備していたのです。

案の定、シンガポールの試作品にジョブスは次々とダメ出し。
ついにはアメリカから直接シンガポールへ乗り込み、最適な工場を探し始めました。

そして、その会社にジョブスがやってきたのです。

「Tommorow(明日からだ)」—即決を呼んだ職人魂

ジョブスは、ステンレスケースの曇りのなさに驚愕。
これは、いつから納品できる?」と尋ねました。

それに対する工場の答えは、「Tommorow(明日からだ)」

この即答に痺れたジョブスは、その工場に他のパーツの製造も次々と発注。
その結果、この会社は時価総額400億円の企業へと成長したのです。

ニーズを超える価値を作るということ

この話から学べるのは、「自分たちが作れるレベルで納品する」のではなく、「お客様が求めるレベルまで商品価値を高める」ことの重要性。
ジョブスほどの目利きに即決させるには、期待を超える品質が必要なのです。

そして、この会社は後に高額で買収されるものの、社長は80歳を超えた今も埼玉で新たな工場を建てようとしているとか、いないとか…。

まさに生涯、職人。
ものづくりに携わる者として、改めて背筋が伸びる思いです。

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