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東北タツミ現場発AIプロジェクト vol.17: 「実績データ、分析できる?」に Claude in Excel で答えてみた話。CAGRと直近6ヶ月トレンドを数式付きで。

こんにちは。広報兼、業務改善担当の酒井です。

前回のAI活用記事(vol.16)では、AIが奪っているのは作業時間だけじゃなくて、「時間をかけた=価値がある」っていう価値基準そのものを書き換えている、という話を書きました。

ちょっと抽象的な回だったので、今回は具体的な事例をひとつ紹介します。

最初にお断りしておくと、私自身は経理や数字の分析そのものを専門にしているわけではありません。

私の役割はウェブとAI推進。現場のメンバーが「この作業、AIでなんとかならない?」と相談してくれたときに、一緒に試す伴走役です。
今回も、そういう相談から始まりました。

目次

きっかけは、「直近6ヶ月のトレンド表を作れる?」の一言

ある日、特販担当の五十嵐さんからこんなお願いをもらいました。

「実績データから分析して、売上・原価・販管費の年平均成長率(CAGR)と、直近6ヶ月のトレンド表を作れる?」

実績シートには、36ヶ月分の月次データが並んでいます。
これを手で計算しようとすると、CAGRの式を組んで、原価率や販管費の推移を追って……と、それなりに腰が重い作業です。やればできるけど、できれば一気に片付けたい。

ちょうど Claude in Excel(Excelの中で直接Claudeに依頼できる仕組み)を試していたので、「これ、いい題材になるかも」と思って一緒にやってみることにしました。

Claude for Excelについて詳しくはこちらの記事を参考にしてみてください。

※なお、この記事で出てくる数字や表は、社内の実データそのものではなく、説明用に用意したサンプルシートで再現したものです。

実際の業務でも同じやり方で動かしています。仕組みと「頼み方」が伝わればと思うので、数字はあくまでサンプルとして見てください。

実際にAI(Claude)にお願いしたプロンプトはこちら

実際にClaudeへ渡した指示(プロンプト)は、たったこれだけです。

「実績シートの36ヶ月データを分析して、売上・原価・販管費の年平均成長率(CAGR)と、直近6ヶ月のトレンドを教えてください。計算はExcelの数式で行い、結果をセル引用付きで示してください。」

このプロンプトで、私が地味にこだわったのは後半の一文です。

「計算はExcelの数式で行い、結果をセル引用付きで示してください。」

ここがある・なしで、出てくるものの信頼度がまるで変わります。

なぜ「数式で・セル引用付きで」と頼んだのか

AIに「CAGRは何%?」とだけ聞くと、それっぽい数字を答えてくれます。

でもその数字は、どのセルを、どう計算した結果なのかが見えない。
経営に関わる数字で「AIがそう言ってたので」は通用しません。

そこで「Excelの数式で計算して、セル引用付きで」と指定する。すると、

・セルに実際の数式(CAGRなら =(終わりの値/始まりの値)^(1/年数)-1 の形)が入る
・どのセル範囲を参照したかが明示される
・後から人間が式をたどって検算できる

つまり、AIが出すのは「答え」じゃなくて、検証できる計算過程になる。ブラックボックスじゃなくなるんです。
これは前回の話とつながっていて、価値は「AIが速く出すこと」より「人が信頼して使えること」に移っているんですね。

前回の記事はこちら↓

出てきたもの①:CAGR分析

実際に入った数式は、たとえば売上ならこうです(数値はサンプル)。

面白かったのは、CAGRの出し方です。
単純に「36ヶ月の最初の月と最後の月」を比べるんじゃなくて、年度ごとの12ヶ月合計を期首・期末に取って、2年分の年率で計算していました。月ごとのデコボコをならすやり方で、こちらが指定しなくてもそう組んでくれた。

・期首値(1年目合計):=SUM(実績!B2:B13) → 101,365,000円
・期末値(3年目合計):=SUM(実績!B26:B37) → 113,424,000円

・CAGR(年率):=(C5/B5)^(1/2)-1 → 5.78%

そろった結果がこちらです(すべてサンプル値・2年・年率)。

・売上  :CAGR +5.78%
・原価  :CAGR +6.11%
・販管費 :CAGR +5.88%
・営業利益:CAGR +4.40%

サンプルとはいえ、数字を並べてみると読み取れることがあります。

たとえばこの例では、原価の伸び(6.11%)が、売上の伸び(5.78%)を上回っている。
だから営業利益のCAGR(4.40%)が一番低い。
売上は伸びていても、それ以上に原価がじわじわ効いてくると、利益の伸びが削られる

頼んだのは「計算」なのに、出てきた数字から「次に何を見ればいいか」が浮かんでくる。実データでも、こういう読み解きがそのままできます。

出てきたもの②:直近6ヶ月トレンド

もうひとつが、直近6ヶ月(サンプルでは2025年10月〜2026年3月)のトレンド表。各月の売上・前年同月比・粗利率・販管費率が、ぜんぶ実績シートを参照する数式で並びます。

・2025/10 売上 9,232,000円 前年同月比 +6.2%
・2025/11 売上 9,389,000円 前年同月比 +7.0%
・2025/12 売上 11,147,000円 前年同月比 +13.2%
・2026/01 売上 9,272,000円 前年同月比 +7.0%
・2026/02 売上 9,535,000円 前年同月比 +6.8%
・2026/03 売上 10,666,000円 前年同月比 +8.4%

この6ヶ月の前年同月比は、平均で +8.08%。さきほどのCAGR(5.78%)より明らかに伸びが加速しています。

つまり「過去3年ならして年5.78%だけど、足元はそれより速い」。12月の +13.2% が特に目立ちます。同時に、直近6ヶ月の販管費率は平均30.3%。
CAGRだけ見ていたら気づかない「今の勢い」が、トレンド表で見えてきました。

ポイントは、表の数字がぜんぶ「セルの数式の結果」になっていること。
気になったところは、そのセルをクリックすれば計算式が見える。この透明性が、いちばんありがたかったと思います。

一緒に確認したこと

もちろん、出てきたものを鵜呑みにはしません。社員さんと一緒に、

・参照しているセル範囲が、本当に年度の区切りとズレていないか
・CAGRの「年数」が正しく2年(^(1/2))になっているか
・前年同月比が、ちゃんと12ヶ月前のセルと対応しているか

このあたりを目で確認しました。
AIは計算は速くて正確ですが、「どのデータを対象にするか」「この数字をどう読むか」は人の仕事。
数式を組むのはAI、その式が正しい問いに答えているかを判断するのは人、という役割分担です。

まとめ:推進担当としての気づき

今回いちばん腑に落ちたのは、AIに数字を扱わせるときのコツです。

「答えを教えて」ではなく、「数式で、根拠付きで示して」と頼む。

そう頼むだけで、AIの出力は「信じるしかない数字」から「自分でたどれる計算」に変わる。
とくに売上や原価みたいな経営の数字では、この差は決定的です。

そしてもうひとつ。
手でやれば半日仕事になりかねない分析が、プロンプト一本で形になる。

しかも今回は、頼んだ「計算」のなかから「原価の伸びが売上を上回っている」という、次に手を打つべきヒントまで見えてきました。

出てきた数字を「どう読むか」「次に何をするか」に使える。
AIが作業を肩代わりするほど、人は判断に集中できる。前回の記事で書いたことが、また現場で確かめられた回でした。

推進する側としては、ツールを配って終わりじゃなくて、「こう頼むと信頼できる答えが返ってくる」という頼み方ごと現場に渡していくのが仕事だな、と改めて思います。

次回も、現場で見つけた具体的な使い方を紹介できればと思います!!!

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