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3Dプリント技術の活用による製品開発プロセスの革新

今回は、中国工場の王副工場長が書いた記事になります。

目次

はじめに:新製品開発における3Dプリントの導入

当社では、最新の製品開発において3Dプリント技術を活用した新たな開発フローを導入しました。従来の手法と比べ、設計の精度向上や開発期間の短縮、コスト削減といった面で大きな効果を得ています。

従来の開発フロー

  1. 3Dデータを設計
  2. 正式な製品図面(2D/3D)を作成
  3. 金型設計・製作
  4. 製品の寸法・組立性確認
  5. 金型の複数回修正
  6. 再生産で確認
  7. 顧客に正式サンプル提出
  8. 小ロット生産
  9. 量産開始

改善された現在の開発フロー

  1. 3Dデータを設計
  2. 3Dプリントで試作品を作成
  3. 顧客確認
  4. 設計図修正(3Dデータ)
  5. 再度3Dプリント
  6. 顧客の最終確認OK
  7. 正式な製品図面(2D/3D)を作成
  8. 金型設計・製作
  9. 試作生産
  10. 製品の寸法・組立性確認
  11. 金型の微調整
  12. 再生産で確認
  13. 顧客に正式サンプル提出
  14. 小ロット生産
  15. 量産開始

従来の手法では、設計段階で見つけにくい欠陥が存在し、金型完成後の組立でようやく問題が判明するケースが多くありました。その結果、何度も金型修正が必要となり、納期の遅延やコスト増加が発生していました。

3Dプリント活用のメリット

1. 設計初期での欠陥発見

  • 動的な検証の仕組み
     「3Dプリント試作→顧客確認→設計修正」というサイクルを繰り返すことで、これまで金型完成後にしかできなかった実機検証を、設計段階に前倒しできます。
  • 問題の早期発見
     組立性や公差の不一致など、見えにくい設計ミスも早期に発見可能。結果として、後工程の金型修正リスクを50%以上削減します。

2. 開発リードタイムの短縮

  • 並行開発が可能に
     試作サンプルの確認と並行して金型設計が進められるため、全体のリードタイムを1〜2週間短縮可能。3Dプリントは最短3日で完成、金型製作には最低30日以上かかります。
  • 顧客判断の迅速化
     図面だけでは伝わりにくい部分も、実物で確認することで認識の齟齬を減らし、スムーズな承認が得られます。

3. 開発コストの抑制

  • 試作コストの低減
     3Dプリント1回あたりの費用は数百円程度で、金型修正費用(数千~数万円)に比べて格段に安価です。
  • 隠れコストの削減
     設計ミスによる量産遅延や納期遅延に伴う損害を未然に防止できます。

このように、3Dプリント技術の活用は、設計の確実性向上・スピードアップ・コスト最適化のすべてにおいて大きな効果を発揮しています。今後も当社は、ものづくりの現場において最適な技術活用を進めてまいります。

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