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一杯のワンタンから学んだ、“ブレないものづくり”の話

こんにちは。中国工場の朱です。

こんにちは。今日は、私の大好きだったワンタン店の話から、日本の老舗メーカー「T-TATSUMI」の“ブレないものづくり”について、ちょっと語ってみたいと思います。

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■ 小さな町の、ずっと変わらない味

私が以前住んでいた街の一角には、こぢんまりとした生活エリアが広がっていて、バス停や学校、市場、広場など、暮らしに必要なものがぎゅっと詰まっていました。飲食店も多く、そのほとんどが入れ替わりの激しい中、なぜか10年以上も変わらず営業を続けている小さなワンタン店がありました。

メニューは「ワンタン5種類」と「焼売1種類」だけ。とてもシンプルなのに、いつ行ってもお客さんがいっぱい。私も初めて食べたとき、その美味しさに感動しました。お肉のジューシーさ、野菜の香り、つるんとした皮の口当たり…とにかく「また食べたい」と思える味だったんです。

ただし、この店は配達やテイクアウトは一切なし。理由を聞くと、「ワンタンは作りたてじゃないと美味しさが半減するから」とのこと。そのこだわりに、私はますますファンになりました。

■ 「いろいろやる」より「ひとつを極める」

その後、少し離れた場所に引っ越し、今の家の近くにもワンタン店がオープンしました。味も良く、若い店主も感じがよくて、開店当初はよく通っていました。私は思わず「近くに10年以上続いてる美味しいワンタン店があるんですよ」と話したところ、店主は「うちはいずれワンタンより丼メニューを主軸にしたい」と教えてくれました。

その言葉通り、次々と新しいご飯メニューが登場。ところが、どれも特別美味しいわけではなく、以前のようなワクワク感はなくなってしまいました。気づけばワンタンの提供も減り…そして数ヶ月後、そのお店は閉店してしまいました。

「なんだか、もったいないなぁ」と思いつつ、私はこう感じました。

お客様に“また食べたい”と思ってもらえる、そんな一品があるなら、まずはそれを大事にし続けることが、何よりも強い武器になるんじゃないかな、と。

■ 70年以上、「コネクター一本」で勝負してきたT-TATSUMI

この話、実はある日本のメーカーさんにも通じるなと思ったんです。
それが、音響・映像分野で知られるT-TATSUMI

1950年代から「コネクター」を専門に手がけ、なんと70年以上。時代が変わっても、金融危機があっても、パンデミックが起きても、この会社はずっと“コネクター”にこだわり続けてきました。

あれもこれも手を出すのではなく、自分たちが信じる「核心商品」に全力を注ぐ。そのブレない姿勢が、多くの顧客からの信頼と長年の支持につながっているのだと思います。

■ 「また来たくなる味」は、きっと「また使いたくなる品質」と似ている

10年続いたあのワンタン店のように、ひとつの“本物”を、丁寧に、誠実に作り続けることは、どんな時代でもお客様の心をつかむ力になります。

そして、T-TATSUMIのように、それを数十年という単位で実行し続けることができれば、会社もブランドも、お客様との関係も、長く強く続いていくんだなと改めて感じました。

これから何か新しいことを始めたい方や、商品開発で迷っている方がいたら――
「あなたにとっての“ワンタン”って何だろう?」と、立ち止まってみるのもいいかもしれません。

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