この記事の目次
Q.抜去力を10ニュートンに強化してほしい!
ジャック相談所の湯沢です。
こちらの記事では、お客様から実際にいただいたご質問やご要望の声をブログでお答えしていくというものです。
今回いただいたのは、「抜去力」について。
プラグを抜くときの力の強さをもう少しあげて欲しいという要望ですね。
大前提としてまず「ニュートン」について少し説明すると、
1ニュートン=0.102Kg
となっております。
上の写真は弊社φ3.5ホンジャックですが、
これを抜去力強化型に改善した時の様子をお届けします!
タツミで扱っているφ3.5ホンジャックの抜去力規格と実測値。
まずは、弊社のφ3.5ホンジャックの実力値を把握してみましょう。
今回は一般的な数値である
「EIAJ(日本電子機械工業会)規格」の数値と、弊社の実績数値を比較しながらご説明
EIAJ(日本電子機械工業会)のφ3.5ホンジャック初期規格値
①挿入力4N~29N ②抜去力4N~29N
これに比べて、
東北タツミのφ3.5ホンジャック実績値
(1)初期試験値
①挿入力14.2N ②抜去力6.5N
(3)プラグ挿入抜去5,000回後タツミの試験値
①挿入力3N~29N ②抜去力3N~29N
(4)平均実績値
①挿入力9.5N ②抜去力3.8N
※お客様の要望は、抜去力を10N〜29Nにしてほしい!
※抜去力は規格内ではありますが、現状弊社のジャックは確かに弱いですね!
単純に抜去力を強くする方法を考えてみました
大きく分けて、抜去力を強くするには、
「チップバネ」「リングバネ」この二つの材質を強化する必要があります。
具体的な強化内容としては、以下の様な方法があげられます。
①素材を変える
②素材グレードを上げる
③素材厚を厚くする
④ジャックの止めバネ稼働部を広くする
⑤ジャックの止めバネ稼働部にリブ(折り目)を入れる
一つずつ、改善策について説明していきます。
方法①素材を変える
リン青銅C5210R/H(t 0.3)材を、
ステンレスSUS304 3/4H(t0.25)材へ変更することで大きな効果が期待できます。
ここで示す「t」という値は材質の厚さの値です。
リン青銅に比べて、ステンレスの方が0.05薄くなっている理由は、
逆にこの材質だと、抜去力が強すぎる恐れが出てくるからです。
方法②素材グレードを上げる
リン青銅C5210R/H t0.3材を、
リン青銅C5210R/EH、t0.3材にグレードアップする。
R/HとR/EHの意味を解説すると、
R=ROLL
これは共通して言えることですが、ロール材という意味です。
そして、その次にくる「H」「EH」が肝になってくるわけですが、
「H」=HARD
「EH」=EXTRA HARD
今回はエキストラハードのものを採用することにより、
耐久性アップを狙っています。
方法③素材厚を厚くする
リン青銅C5210R/H t0.3材を、
リン青銅C5210R/H t0.4材を使用する!
上記でも出てきましたが「t」という値は厚さを示しています。
同じ材質でも、厚さを出すことにより、若干の抜去力アップが期待できます。
方法④ジャックの止めバネ稼働部を広くする
ジャックの抜け防止のためについている、挟み込み部分のことですね。
バネ稼働部広さ3.0mmを3.5mmと広くする!
方法⑤ジャックの止めバネ稼働部にリブ(折り目)を入れる。
バネ稼働部にリブ(折り目)加工を入れ、バネそのものの強化を図る方法です。
ただ、そのものに加工を入れるため、バネの耐久力は落ちる危険性があります。
強化するには、「ステンレスSUS304 3/4Hを使用する!」これが効果抜群!
上記の方法①を使って改善。リン青銅→ステンレスを使用することがベストアンサーです。
具体的に改善数値を以下に示しておきます。
【改善前】リン青銅の場合。
抜去力(初期) 6.5N
抜去力(挿抜後) 3.8N
↓
【改善後】ステンレスの場合
抜去力(初期) 15.5N(お客様希望10.0N以上)
抜去力(挿抜後) 11.4N(お客様希望10.0N以上)
と、初期段階で10N近く抜去力をあげることに成功しました。
φ3.5ホンジャックについて、問い合わせ質問、改善依頼がございましたら是非東北タツミ、ジャック類相談室へ問い合わせください。
良い品質の単頭ジャック、抜去力が強い単頭ジャックをお求めのお客様、現在使用している単頭ジャックの抜去力を強化したいお客様、小型単頭ジャックに興味があるお客様、
是非東北タツミへお問い合わせ相談ください。
東北タツミ㈱03-5577-5831 担当 湯澤でございます。